夫に大きな借金が有る事は離婚理由として認められるのでしょうか

私の夫は温厚で大変良い人なのですが、友人とのお付き合いの関係から、大きな借金を背負い込むことになり、大変苦しい生活を余儀なくされています。要するに人が好過ぎたのですが、私ももはや我慢の限界に達してしまい、このままでは近い将来うつ病になってしまいそうです。実家にも相談したところ残念だが別れるしかないだろうという結論になり現在離婚を真剣に考えています。そこでお聞きしたいのですが、夫に借金が有ると言うことで離婚は成立するものでしょうか。

法的には旦那さんの借金と言うだけでは離婚は難しい

離婚には協議離婚と言うものが有って、旦那さんと奥さん或はその代理人で協議して双方が納得すればどんな理由であろうとも、ご本人たちの勝手ですと言うことで離婚することが出来ます。離婚としては最も双方が傷つかないためこの方法で離婚の成立を目指してほしいのですが、あなたのケースの場合旦那さんが納得して協議離婚に応じるかどうかは分かりませんね。離婚を決意しているのであればまずは自分がどれほど追い詰められているのかを良く説明するところから始めてみてはいかがでしょうか。

協議がまとまらない場合には次の段階として家庭裁判所に調停を申し立てます。これによって家庭裁判所は双方の意見を聞いて離婚調停を行うことになるのですが、ここでも旦那さんがどうしても離婚に応じない場合には、最終的には裁判で決着をつける以外方法はありません。裁判と言うことになると双方とも傷つく事も有るのであまりお勧めはできないのですが、あなたの決意が固い場合には、弁護士さんに頼んで離婚訴訟を起こすことが出来ます。

裁判では法的に離婚が成立するかどうかが問われることになります。法的に離婚が成立するためには婚姻を継続しがたい重大な事由というものがあるかどうかが争点になります。これには不貞を働く、悪意で生活費を渡さない、3年以上生死不明、回復が期待できないほど重度の精神病、暴力や性格不一致などが該当しますが、単に借金と言うだけでは、なかなか婚姻を継続しがたいとは判断されないようです。したがってあなたの方が敗訴する可能性が高いと言えます。

特にあなたの場合、借金はあってもお互い憎み合っていると言うようには見えませんので、やはり勝訴は難しいと考えて良いでしょう。したがってあなたの場合には、やはり時間をかけてでも協議によって離婚に持ち込むことが最も良い方法ではないかと考えられます。この話を踏まえてもう一度ご実家で話し合ってみてはいかがでしょうか。またどうしても協議に応じてもらえない場合には離婚訴訟に詳しい弁護士を探して相談してみてください。

こちらの希望ですが、できれば婚姻を継続する道を探してほしいと思います。憎み合っているわけでもなく理由が借金だけで離婚と言うのは寂しい限りです。旦那さんにあなたの状況を良く話して、何とか生活を立て直すことはできないか、本来であれば離婚ではなくそちらに頭を使ってほしいのです。そういう点について弁護士に相談したり、公的機関で相談した方が前向きになれると思うのですが気持ちを整理してじっくり考えてみてください。

借金は直接的な離婚理由にはならないと考えられます

旦那が借金をすることが原因で離婚したいと思うこともあるとは思いますが、このときには直接的な離婚理由にはできないと考えておきましょう。夫婦財産制度という考え方があり、日常的なことによって発生する債務については、夫婦がともに負わなければならないことになっています。このような債務を日常家事債務と呼びます。

例えば、住宅ローンは日常生活を送るためのもので、日常家事債務と呼びます。旦那の名義で住宅ローンを組んでいて、そして返済ができなくなれば離婚すれば良いと考える人もいるかも知れませんが、住宅ローンを返済できない事が理由で離婚が認められることはありません。日常生活の中で発生する債務を離婚理由にする事はできないと考えておきましょう。

では、住宅ローンなどのようなものではなくて、例えばキャッシングで借りギャンブルをすると言った場合にはどのようになるのでしょうか。これを繰り返されると、一緒にいるのも嫌になるものです。これが離婚理由になるのかというと、返済不能な借金があるというだけでは離婚は認められないでしょう。ただ、それが原因で夫婦関係が破綻していると判断された場合には、離婚することができると考えられます。

具体的にはどのような場合に認められるのかというと、例えば借金を返済するために生活費をもらうことができないような場合には、悪意の遺棄に相当し、離婚が認められるケースが多いです。また、本人が夜逃げして行方不明になった場合にも、生死不明な状態が3年以上続けば離婚が認められるケースが多いです。

そのほかにも、婚姻を継続しがたい重大な理由と判断されれば離婚判決が下ることもあります。例えば、借り入れをしたことが原因でずっと夫婦げんかをしているような状態や、あるいはDVを受けているような状態であれば、婚姻関係を継続するのが難しいと判断されることになるのです。

ただし、返済するのが嫌で、離婚する気もないのに形式的に離婚しようとするのはやめたほうが良いでしょう。財産を妻に渡して離婚し、その後自己破産をするというような方法をとれば、詐欺行為と見なされることもあります。

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